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家主業が直面するメンテナンスの重要性

家主さんはなぜ「セコい」?

 

ある不動産管理会社の会合で「家主さんはなぜセコい人が多いのか?」という話題が出ました。

家主が物件の管理に対する出費をできるだけ抑えようとする姿勢が「セコい」と感じられてしまう理由です。

しかし、これは単なるケチではなく、家主業の現実に直面しているからこその判断です。

 

マンションやビルの外壁・屋上の防水工事、給排水や電気空調設備の保守・交換、共用部分の清掃

さらには各室内の内装工事など、物件の維持には多額の費用がかかります。

こうした経費を過度に抑えすぎると、建物の老朽化が早まり、結果的に大きなトラブルを引き起こすことになります。

 

例えば、防水工事を怠れば雨漏りが発生し、それが入居者の不満を招くだけでなく、建物全体の価値を下げる原因となります。

また、給排水や空調設備の不備が続けば、入居者は退去を検討し始めるかもしれません。

こうしたトラブルは、家主にとってさらなる問題を引き起こします。

 

建物の状態が悪化すると家賃の値下げを余儀なくされ、さらに家賃を下げると今度は入居者の質が低下するリスクも生じます。

質の低い入居者が増えると、トラブルやクレームが頻発し、管理業務が複雑化して家主自身のモチベーションが

低下することになりかねません。

 

 

まめなメンテナンスがもたらす資産価値の維持

 

そこで重要なのが、まめなメンテナンスです。

定期的に適切な管理を行うことで、建物の老朽化を防ぎ、長期的な資産価値を保つことができます。

 

特に、近年の建築費高騰により新築物件の供給が減少している現状では、既存物件の価値が相対的に上がっています。

 

以前のブログでも触れたように、新築物件の供給減少に伴い賃料が上昇している現在の市場は

既存物件を所有する家主にとって朗報です。

 

競争相手が減ることで、賃料や売却価格を引き上げるチャンスが増えているのです。

 

このように、物件の価値を高めるためには修繕や設備の交換を「少し前倒しで実施する」という戦略が有効です。

 

例えば、エレベーターの交換時期を数年早めることで、物件の価値を維持するだけでなく

場合によっては価値を向上させることも可能です。

 

設備の更新は、入居者に安心感や利便性を提供し、物件の魅力を高めるため

賃料相場もそれに応じて上昇する可能性があるのです。

 

 

 

 

 

 

 

維持管理と相場意識の重要性

 

さらに「この物件を売却したらいくらになるのか?」という相場を常に意識することも非常に重要です。

不動産業者として所有物件の価値を常に把握することで

メンテナンスやリニューアルに対して明確な目標を持つことができます。

 

一般の家主さんにとっても、相場意識を持つためには、近隣で信頼できる不動産業者に物件の査定を

依頼してみるのが良い方法だと思います。

 

複数の業者、例えば3社程度に査定を依頼し、各社の見積もりを比較して平均値をとることで

おおよその相場感がつかめるでしょう。

 

査定を依頼する際には、これまでにどの部分を修理したか、交換した設備の内容やリニューアル工事の時期などを

詳細に説明しておくことも大切です。

こうした情報があれば、より正確な査定を受けることができ、物件の価値を正確に把握することが可能です。

 

例えば、我が社が所有する物件の中にもエレベーターの交換が必要なケースが出てきました。

何社かに見積もりを依頼しましたが、各社とも円安やウクライナ情勢による物価高騰の影響で

エレベーター交換費用が数年前の見積もりより3割ほど上がっているとのことでした。

エレベーター会社曰く、今後もさらに価格が上昇し、現状の価格では維持が難しくなる可能性があるとのことです。

 

このような状況を考慮すると、交換時期を前倒しで行うことで将来的なコスト増を回避し

物件の価値を高めることが期待できます。

 

たとえエレベーターの交換に1000万円かかるとしても、将来的にその費用が1200万円に上がると予測される場合

前倒しでの交換が結果的に経費を抑える手段となるのです。

 

 

メンテナンスで出費した経費以上の価格的プレミアムを期待する

 

さらに、万が一物件を売却する際には、メンテナンスにかかった経費以上の価格的プレミアムを期待できることもあります。

エレベーター交換が現時点で1000万円としても、5年後には1200万円に上がる可能性があるなら

5年分の減価償却を差し引いても前倒しでの実施が結果的にプラスになる場合があります。

 

これはインフレ社会では鉄則であり、特に大規模な経費を伴う修繕は

将来のコスト増加を見越して早めに実施する方が、長期的な経費削減につながるのです。

 

また、メンテナンスやリニューアル工事により、入居者の満足感が高まるとともに

売買を想定した際に価格に上乗せできるプレミアムも得られることがあります。

 

このように、物件管理におけるメンテナンスは、単に物件の保全だけでなく、価格的な付加価値を生み出し

マンションやビル管理に対する家主のモチベーションを高める役割も果たします。

 

 

まとめ

 

家主として、短期的な出費を抑えることは一時的には有効かもしれませんが

物件の価値を維持・向上させるためには、適切なタイミングでメンテナンスやリニューアルを行うことが不可欠です。

 

特に現在のような建築費高騰と新築物件の供給減少が続く状況では、既存物件の価値は相対的に上昇しています。

修繕や設備更新を前倒しで行うことは、将来的なコスト削減と資産価値向上を実現するための有効な戦略です。

 

さらに、近隣の不動産業者に査定を依頼し、正確な相場を把握することで

物件の管理やメンテナンスの方針をより適切に立てることができるでしょう。

 

また、メンテナンスによって入居者の満足度が高まり、売却時の価格にプレミアムを上乗せできるという事実は

家主のモチベーションを一層高める要因にもなります。

 

 

 

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