家主業は一見、毎月安定した収入を得られる魅力的なビジネスに思えるかもしれませんが
実際には多くの労力と出費が伴います。
確かに賃貸マンションの経営を通じて、相続税の評価減による節税効果を受けられることはメリットの一つです。
しかし、前回のブログでもお伝えしたように、家主業の実態は想像以上に厳しく簡単ではありません。
たとえば、物件のメンテナンス費用や税金、管理費に加え、入居者からの要望やクレームへの対応など
日々の運営には多くの時間とエネルギーを割かなければなりません。
それに加えて、初期投資が非常に大きいことも課題です。
特にマンションやビルの一棟を建てるためには莫大な借金を抱え、30年以上かけて返済することが一般的です。
経済状況の変化や空室リスク、さらには物件の老朽化など、不確定要素が多く収支が安定するとは限りません。
そのため、純粋に収益性や効率だけを考えるとリート(不動産投資信託)のような
金融商品に投資する方がリスクが低く、少額で手軽に始められるかもしれません。
リートなら流動性が高く、いつでも簡単に売却して現金化できるという利点があります。
また、利回り10%以上の投資信託も存在しており、そうした選択肢と比べると
賃貸業は物件の売却でもっての現金化が難しく、流動性が低いのが現実です。
単純に利益追求の視点で考えると、家主業を続けることに意義を見出すのは難しいかもしれません。
実際、私の周りの家主さんの中にも
「マンションなんて建てなければよかった。煩わしくて、出費ばかりだ。」
と嘆く声を耳にすることがよくあります。
確かに賃貸業には大きなコストとリスクがつきものです。
しかし一方で、家主業には社会的な大きな役割があります。
住居を提供することで、入居者は日常生活の基盤となる場所を手に入れ、生活の安定と安心を享受します。
入居者にとって、賃貸住宅は単なる居住空間ではなく、英気を養う大切な「家」なのです。
弊社も多くの賃貸物件を管理し、自社で所有運営してきました。
その中で、いつも「なぜこの物件を所有しているのか?」という問いに向き合いながら経営しています。
この問いにしっかりと答えを持つことが、賃貸業で苦労の中にも楽しみを見いだしていくことができ
ひいてはビジネスを長期的に成功させるための第一歩だと感じています。