《ケース1》
先日、中央区にビルをお持ちのオーナーさんが、従来は貸事務所として賃貸されていました。
そのビルの事務所の4室を賃貸マンションに内装変更されたのでした。事務所部分は各室約15坪です。
計4部屋をリビングを広めの2LDKのプランでリフォームをされ、入居者はすぐに決まりました。
その際、私は固定資産税が軽減の適用が受けられるのではないかという旨を家主様に説明。
後日、家主さんは大阪市の市税事務所に確認をした結果、市税事務所がビルを現地調査、結果的に固定資産税は年間10万円程度安く成ったとのことでした。
固定資産税は、住居部分が増えることにより土地にかかる税金が安くなります。
ご存じの方も多いとは存じますが、土地にかかる固定資産税は住居として使用する場合200㎡までは、一戸に付き税額が1/6に軽減されます。
では、住居と事務所・店舗といった非住居部分が併存する場合はどうなるのでしょうか?
この場合は、各面積の割合に応じて按分の上、税額が算出されるようです。当然、住居部分が多ければ多いほど土地の固定資産税額は安くなります。
《ケース2》
商店街に面する店舗兼居宅。敷地約50坪で1階は店舗、2階は住居としてオーナーさん自らが居住され、1階部分で飲食店舗を経営されておりました。
オーナーさんは、7年前に飲食店を廃業をされたとのことで、その後、1階の店舗部分(内装は以前の飲食店舗のまま)は
家族でくつろげるソファや自転車、バイクにペットの犬も飼い、2階と同様に実質は住居として使用されておりました。
オーナー様に固定資産税の納付書を見せていただいたのですが、案の定、用途は店舗・住居となっており
店舗部分は以前の同様に店舗扱いで減額の措置はとられていませんでした。
オーナーさんは、早速、市税事務所に連絡を取り、現地調査の結果、1階は事実上住居として使用していることが認められ
「固定資産税が安くなって嬉しい。」と喜んでおられました。
《ケース3》
中央区で貸ビル業を営んでいるオーナーさんは、4階建てビルの1階から3階までをテナントに貸し4階を住まいとして使用しておりました。
4階の住まいに家財道具が増えたため、3階のテナント募集をやめ、家財道具・卓球台なども置き、住まい兼倉庫代わりに使用。
このケースも3階部分につき、固定資産税の減税が認められたようです。
上記のように、建築当時は住居兼店舗・事務所・倉庫等の非住居として使用していて
途中で非住居部分を住居として用途を変更した場合は、固定資産税が減額される可能性があります。
しかし、市税事務所側から積極的に用途の変更を調査してくれることはありません。
所得税の確定申告のように、毎年所有者が現在の用途を申告して、それに応じて税額が算出され納税する仕組みであればこのような問題は生じません。
各物件の現状把握もしないで毎年納付書が一方的に所有者に届けられる現行制度に対しての対抗措置は、減額の可能性がある場合、
所有者から市税事務所に連絡を取り、役所と折衝していく以外に方法はありません。