カップルが選ぶ住まい … 広さより利便性重視へ
東京都心部や大阪市内といった大都市の中心部ではマンションの価格上昇が続く中、
最近はその広さが以前に比べて狭小化しているという現象が見られます。
先日の日経新聞の記事でも、価格高騰の背景には建築費の上昇やマンション用地の不足が挙げられていました。
こうしたコストの影響を受け、住戸面積を小さくすることで販売価格を抑える動きが広がっているのです。
昔と今で変わる「住まい」のスタイル
1999年、弊社の近隣の大阪市天王寺区で提案した賃貸マンションがありました。
当時の1LDK・35㎡の間取りは、今から思えば「狭い」部類に入るかもしれません。
しかし、当時の主流は1Kで25㎡ほど。
1LDKで35㎡というのは、単身者にとっては少しゆとりのある住まいでした。
募集を始めた当初、想定していたターゲットは単身者でした。
ところが実際に申し込みが入ると、新婚夫婦も意外と多かったのです。
共働きの夫婦にとって、広さよりも交通アクセスや都心部の利便性が優先される
時代の兆しだったのかもしれません。
しかし一方で、狭い部屋に新婚夫婦が家財道具をどう置くのか?という課題も感じたものです。
当時はまだ、新婚生活といえば家電や家具を揃え、新しい生活をゆったりと始めるイメージが主流でした。
それが、今では大きく変わりつつあります。
「広さ」より「利便性」を選ぶライフスタイル
ここ20年で、特に都市部における新婚夫婦や若いカップルのライフスタイルは大きく変わりました。
広い間取りを求めるよりも、職場や駅へのアクセスの良さ、周辺の生活利便性を重視する傾向が強まっています。
たとえば、最近では35㎡から40㎡程度の新築マンションが大阪市内で増えています。
こうした狭小物件は、一見「狭い」と思われがちですが、コンパクトで機能的な設計が特徴です。
家具や家電を最小限に抑え、シンプルな暮らしを実現する人たちにとっては十分な広さと言えます。
また、狭小物件の多くは共働きの夫婦に向けて利便性が高い立地に建てられているため
通勤時間の短縮や生活の快適さを優先する人々に支持されています。
(1)時代とともに変わる住まいの価値観 … 続く